ICHIMARU SATO
STATEMENT
心臓の機能は誰にでもある。
胸に手を当てれば拍動を感じ、走れば鼓動は速くなる。しかし、自分のものを肉眼で見た人はいない。教科書の図は他人が描いたもので、絵文字の♡は誰のものでもない。
感じているのに、見たことがない。
同じことが、人が動く動機についても言える。誰の中にもあるのに、普段は見えない。私はそれを「中心」と呼んでいる。「中心」は、心血を注ぐ行動の反復により、誰の内にも現れる。先天的な能力は必要ない。
ただし、これを実践するには、人ごとに異なる余白——他のことに使わずに済む時間や体力——が要る。だから「誰にでもできる」とは言わない。
「中心」は、私の頭の中で心臓の形をとった。このイメージを描き起こそうとして、他人が作った解剖図と3Dモデルを使って研究した。
図像を借りることは、美術ではよくある。彫刻の女神を借りてかわいくしたり、キャラクター玩具の人形を借りて巨大にしたりするのがその例である。広まると、中身が抜けて、記号になる。中身がないぶん誰でも受け取れるから、さらに遠くまで届く。
私も図像を借り、編集し、中心の表現として視覚化した。
ただし、記号にはしない。記号は身体の外につく。だから、アクションする人の胸の中に、「中心」のモチーフを置く。
BIOGRAPHY
1999年、福岡生まれ。東京を拠点に活動。
絵画、ドローイング、3Dプリンターによる立体、3DCGアニメーションを横断して制作する。
学生時代は剣道と水上スキーに打ち込み、武道の「間合い」や水面を捉える「起こりの瞬間」といった、精神と動きの関係に関心を持つ。